川上和歌子展「ピコとピータ」

 

会 期 :11月21日(木)〜12月14日(土) ※木・金・土のみ開催(11月23日【祝】もオープン)
開場時間 :13:00〜19:00
会 場 :@btf 東京都中央区勝どき2-8-19 近富ビル倉庫3F 3B 地図
入場料 :無料


大きなインコとお散歩イベント
日時:11月23日(土・祝)・30日(土)・12月7日(土)・14日(土)
14:00〜15:30

参加費無料
勝どきの展覧会会場から徒歩1分の公園まで巨大インコと一緒にお散歩して、
スマートフォンなどで、ご自由に記念写真を撮影していただけます。
※各日3羽限定(時間内、1組につき巨大インコ1羽がおとも致します。大人の方も参加いただけます。)

オープニングパーティー

日時:11月22日(金)18:00〜20:00 会場:@btf



 

川上和歌子 Wakako Kawakami

1969 大阪府生まれ、東京都在住
1991 武蔵野美術大学短期大学部美術科卒業
1992 武蔵野美術大学短期大学部専攻科美術専攻修了
1995年より、顔のない『ひとがた』や自身を模した人形、タンポポの群生など、布を用いた立体を増殖させるインスタレーションを発表。
日々夥しい数の作品をひとりで黙々と生み出し続けている。
近年では、作家等身大ほどある巨大インコが集う世界を、
ビル群、森林などさまざまな場所で展開。
個展、グループ展多数。

川上和歌子氏HP


写真:山下大輔

「ピコとピータ」について

子供のときにセキセイインコを飼っていました。
最初に飼った水色のインコは、わずか2週間ほどで天国に旅立ってしまい、
泣いている私に小鳥屋のおじさんが「丈夫そうなのを選んでやるからな!」と選んでくれたのが、
黄色い頭と、黄緑色と黒の羽をもつ、「ピコとピータ」でした。
この色は、オーストラリア大陸で何十、何百羽もの群れで住む、野生種のセキセイインコと同じ色になります。

丸っこく愛らしいピコと、三白眼でコワモテのピータ。
二羽はとても仲良しで、いつもピータがピコにぴったりくっついていました。
ピコは私をあまり怖がりませんでしたが、ピータは手を伸ばすと暴れ、過剰に怖がりました。
子供の私は手に乗せてみたい思いもありましたが、
必要以上に近づかないようにし、ピコとピータの穏やかで幸せな時間と空間を眺めていました。

ピコが病気で旅立ってから、一羽になったピータが不憫で、順番に雌の二羽を迎えました。
しかしながら、それはエゴというもの。
ピコを思い続けていたであろうピータと、嫌われて短命となってしまった二羽には、申し訳ないことをしました。
ずっとあとになり教えていただきましたが、セキセイインコは一夫一妻制なのだそうです。

その後、ひとりとなったピータの、私への拒絶ぶりはますます凄まじく、
青菜を補充するためにカゴの中に手を入れると、
奇声を発しながら暴れ、顔を近づけると、止まり木の反対側へ即座に移動。

それでも晴れた日に鳥かごをベランダに置くと、ピータは機嫌良さそうに小鳥たちの鳴き声に呼応し、
声高らかに鳴いていました。狭いカゴから飛び立ちたかったのかもしれません、、

ピータが永遠の眠りについたとき、ピータは初めて私の手の中に入りました。
小学3年生だった私も、高校3年生になっていました。

拒むことのない、穏やかな表情をしたピータに顔を近づけ、
ピータの匂いをずっとずっと嗅ぎながら、涙が止まりませんでした。
ピコとピータたちが眠る実家の庭も、もうありません。

巨大なインコは、15羽、30羽、50羽、、ときには100羽、、
何かに引っ張られるように、どんどん増えていきました。

一人で制作していると、群れで生きるインコの領域に、ようやく入ることが出来た感覚を覚えます。

生涯私に慣れなかったピータの存在こそが、
私を引っ張り、支配しているのかも、いえ、してくれているのかもしれません。